街なんか歩くんじゃなかった

昨日感じた純血種の気配は、今は感じないものの一般のヴァンパイア
―――貴族階級に属するものの気配がする。

「…………っ」

街角を曲がったとき、ふと反対側の通りに見知ったヴァンパイアの姿をみかけた。

「藍堂センパイと架院センパイ…」

咄嗟に建物の影に隠れて離れようとしたけれども遅かった。
近づいて来て、私に話しかけてくる藍堂センパイ。架院センパイは黙っているけれど。
きっとお二人ともおにいさまの命令で私を探してるんだと思う。

「黒主優姫!!お前、枢様がどれほど心配なさっているか分かっているのか!?」
「ごめんなさい…でも見逃してください。
おにいさまには私がここにいた事も言わないで欲しいんです」
「納得出来るか……っておいこら!!話を聞けー逃げるなー!!」

往来で叫ぶ藍堂センパイ。
私は往来で叫びながら私の名前を呼ばないで欲しいと思った。

その証拠に通行人が何事かと視線を向けて来るのだから余計に目立ってるし。
センパイのバカっ…
それでも私は声から遠ざかるように走りながら逃げた。
けれど…


ドンッ…

前をあまりよく見てなかったせいか人にぶつかってしまう。

「ごめんなさい…急いでたから前をよく見てなくて…」

よろけながらも謝罪の言葉を紡げば、何故か腰に手を回されて、支えられた。
ふわりと鼻腔を擽った見知った香りに私ははじめて顔をあげればそこには…


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