呼び止める声
「……ぜ、ろ……?」
「なにやってんだ。お前は…」
言いながら血薔薇の銃をしまう零に先ほどのレベル:Eは零が狩ったのだと理解した。
「私は……狩らないの?」
「お前を狩る理由がない……理由なくむやみやたらに狩れないしな」
いつの間にか、激しく感じていたはずの飢えも消えていた。
だが、また飢えは襲うだろう。
「玖蘭枢はどうした?あいつの所へ戻れ、優姫…」
「でも…零っ……私はっ」
「お前と俺は敵だ」
「…………零」
それだけ言うと零は何事も無かったように私に背を向けて歩き出した。
私は零を追いかけることは出来ない。
零が言ったように私は零の敵。歩む道が違うから。
*****
いつまでそうして居ただろうか私は、はっとして再び歩き出した。
微かながらも感じてしまったのだ。
レベル:Eとも一般のヴァンパイアとも違う……純血種の気配。
もしかするとおにいさまかもしれない。
おにいさまが私が手紙に書き記した通りに、
帰って行くのを待ってくださるはずなんてない。
手放すくらいなら私を殺すか自分を殺してって言ってたくらい。
だけど私は、まだおにいさまに会う訳には……
*****
「……お前…俺が言った言葉聞こえなかったのか?」
怪訝な顔をする零。
零が怪訝な顔をする理由は私だろう。
追いかけられないと思ったのだけど、純血種の気配を感じて
つい零の去った後を追いかけ、ただいま零が借りている集合住宅にいます。
「聞こえたけど…お願いっ!一晩で良いから泊めて!」
「はぁ!?」
「行くとこないの…だめ?」
「…………勝手にしろ。一晩だけだからな」
私から遠ざかりながらも、そう一言。
敵だと言ったのに、零の優しさに涙が溢れそうになる。
「ありがとう、零」
「優姫……ほら」
「……え?」
部屋から出ていく際に零が私に向けて放り投げたのは血液錠剤のケース。
訝しげな表情の私に零は「渇いてるんだろ?持っとけ」と言う。
私は一言も血に飢えてるなんて言ってないのに…
「ばか…お前は顔に出やすいんだよ」
「零……」
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