頭上には曇天がのしかかる

――枢side――

優姫が消えた。
帰宅して見れば姿が見えず、代わりにあったのは僕に宛てられた一通の手紙。
探さないで会いにくるまで待っていてか。そんなの僕が我慢出来ると思ってるのかな?

大人しく待つ?
僕は、いつだか言ったよね?君を手放しはしない――って。
それを承知で離れて言った君に僕は届かないと思いながらも言うよ…

君を絶対に見つけてみせる。
ごめん…優姫。
君を手放すことなんて無いよ。この命ある限り、ずっとね。

君が何を思っての上で僕から離れて行ったのか、なんとなく分かるよ。
けどね?待っていられるほど、優しくはないんだ…


*****


翌日。
一条に優姫が居なくなった旨を話したんだけど、複雑な表情をしていた。

「枢…どうしても探すの?」
「当然だよ。優姫を手放すつもりないからね」
「でも優姫ちゃん…会いに行くって書いてあったんでしょ?
色々なことがあったから気持ちの整理したいはずだよ」

だから、そっとして優姫が僕の元に帰って来るのを大人しく待っていろとでも言うのか?
確かに一条…君の言うとおり優姫には気持ちの整理をつける時間が必要だろう。

自分の身に起きたことも環境さえも優姫は戸惑っていた。
そして僕との関係と、錐生君のこと。

でも…――
「外はまだ優姫が思ってるほど安全な場所じゃない」

理性をなくしたレベル:Eに襲われでもしたら…
ハンターに出くわしたら…
そう思えば思うほどに居ても立ってもいられないんだ。

「それは、そうかもしれないけどさ…」
「一条…」
「…………うん、言いたいことは分かるんだけどね」

なら、止めないでくれるかな。
僕は、そう言いおいてからまだ何か言いたげな表情の一条の元を去った。

優姫…君は今何処にいるんだい?何を思ってるの?
さようなら…なんて別れの言葉…僕は許さないよ。
僕のそばに居たいと言ったくせに離れて行った君に不満を言いたいくらいだ。


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