「困った子だ…」
部屋に戻って来た枢は開口一番カウチで寝てしまった優姫を見つけて、そう言った。
別段寝てしまっただけなら、自分が優姫を抱き上げてベッドまで運べば問題はないのだが問題は優姫の格好。
寝ているうちに淡い色のスカートは捲れ上がり、優姫が身動ぎする度に下着が見えそうなのだ。
確かにこの部屋は僕と優姫で使っている月の寮の部屋だけど、誰も来ない訳じゃない。
そう…例えば一条とか…ね。
「ねぇ…一条?」
「……か、枢…」
「用件は後で良いよね?それと君はノックして返事がかえる前に扉を開ける事を何度言えば直してくれるのかな」
「あはは…ごめん……話は、また今度にするよ……じゃ…」
拓麻は、それだけ言うと逃げるように部屋を後にした。
閉まる扉の音を確認すると枢は優姫が寝ているカウチまで近づく。
おそらく枢を待っているうちに睡魔に勝てず寝てしまった所だろうか。
「クスッ…無意識に誘惑する優姫には、お仕置きしなきゃならないよね」
枢は、優姫のスカートから視線を上に向けると気持ち良さそうに寝息を立てる優姫の首筋にキスマークを付けた。
ヴァンパイアであるからして、このキスマークも人間より早く消えてしまうけど…
ねぇ、優姫…
君が起きるまで
悪戯してもいいよね?
僕を誘惑する君が悪いんだ…
嫌だなんて言わせないよ。
さぁ、眠り姫。
(目覚めるのは、いつ?)
*end*