対等でいたい

貴方は、意地悪なひと。

【名前で呼んで?】

その言葉が私にとっては、どんなに難題なのか分かった上でお願いしてくるのだから。

枢センパイ
枢おにいさま
枢さま

どれを言っても、それらの言葉は、この人が望む言葉じゃない。

「ねぇ、優姫?お願い」
「…………っ」

耳元で囁かれて、 思わずドキッとする。
身体の体温が上昇して熱が集まってるのを確かに感じて…

「かな…め…「優姫、やっと呼んで」さま…」

やっと呼んでくれたね。嬉しいよ。と言いかけた枢だったが、
その後に続く言葉を聞くと不機嫌になった。

「優姫…」
「うっ…でもおにいさまを呼び捨てだなんて…私には…」
「優姫は僕の婚約者だよ?何れ結婚するんだ」

だから、呼び捨てるのは問題ないと枢は言う

「僕のお願い優姫は聞いてくれないの?」
「それでも…やっぱり…」

おにいさまの呼び名は特別。

零は、もちろん呼び捨てるのに違和感や戸惑いとか感じなかった。

けれど、おにいさまと零は違う。
おにいさまは、私にとって何よりも特別なひと…。
願いを叶えたいと思うけど、言えない自分との葛藤。
このままじゃ、またおにいさまを悲しませてしまう。
現に枢おにいさまは、その綺麗な顔に何処か憂いを帯びた表情を浮かべている。
だから私は、他でもないおにいさまからのお願いだから叶えよう。

「か…な…め……っ」

恥ずかしがりながらも今度は様を付けることなく呼べば、これ以上ないくらい微笑んだ
枢の姿が視界に入って優しく抱きしめられた。

「ありがとう、優姫」
「…っ……枢…の…お願いなら私は絶対に叶えたいんです」
「クスッ…それは僕もだよ。優姫以外からのお願いなんて聞かない」
と、聞かされれば貴方の特別なんだと認識できて嬉しいと思ってしまって…

枢に抱きしめられたまま優姫は彼の背に両手を回すと、自然に更に密着する格好になって恥ずかしいけど、
彼の温もりを感じれるなら恥ずかしくても良かった。


(君とは対等の関係で居たいんだ…)


*end*