ダイエットに協力します

「ごちそうさま…」
元気無さげな表情で食事の席から立つ彼女に枢は心配そうに声をかけた。


「優姫、もういいの?」
枢が言ってしまうのもそのはず。
優姫は殆ど手をつけてないのだから。


「体調悪い?」
「いえ、そんなことないです」
本当に何でもないから
だから心配しないでください。
それだけ言うとまだ何か言いたげな表情をするおにいさまから
逃げるように、部屋に戻った。



部屋に戻って優姫は、ベッドの上に倒れ込んだ。
おにいさまに言えるわけない。
“体重が気になってダイエットしてるんです”なんて―――

考えてみればそうなのだが、ここ1年ほど屋敷から出られなかったのだ。
増えることは必須だろう。
でも食事制限をするのはまずかったかもしれない。
おにいさまがあのまますんなりと納得して私のこと放っておいてくださるなんて、ありえないし。


“枢は優姫ちゃんのこととなると、常軌から外れると言うか…
超がつくほど過保護になるよね
愛されてるね〜優姫ちゃんは”
と、一条センパイが先日おにいさまが居ない時に屋敷に来て言ってたっけ。

どうすれば良いんだろう…
思わずついた溜め息は
重苦しいものだった。






――暫くして

コンコンコン


「優姫?居るよね。入るよ」
扉をノックする音がして、声と共に入ってくる気配がした。

ベッドに伏せてた顔を上げれば、目の前には既におにいさまがいて。
咄嗟にまた顔を伏せてしまう。


「どうしたの?最近、様子おかしいよね」
悩み事かな。僕には話せない?
僕じゃ役立たずなのかな。

悲しそうに言われてしまえば、伏せてた顔を上げるしかなく。
「違います。おにいさまは何も…」
「じゃあ、聞かせてくれないかな。僕は君の力になりたいんだ」
「それは…」

い、言えないです。
と言いかけた優姫だったが、
枢が優姫の上に覆い被さってきたことで無理になってしまう。

「お、お…おにいさま?」
「言えない。僕には関係ない……って言わないよね」

ニコリ。
逆らえない雰囲気を感じとり、
と言うか絶対いまおにいさまの背後に黒いナニカがいる気がする。

「優姫?」
「だ、ダイエットしてたんです!」
再び促されて半ば叫ぶように言った途端、顔が紅く染まった。

“恥ずかしい”


「そう…ダイエットね
でも僕には君がダイエットする必要があるようには見えないな」
太ってなんかいないよ。
と言われてる気がして悪くはないのだけど、女の子にとっては


たかが1sと言えど、

問題なんです



「そんなにダイエットしたいなら、優姫?食事制限なんてしなくてもいい方法があるんだけど」
「……え?…………んっ」

それと同時に唇を塞がれて、キスされたと気づくのに数秒を要した。
上気した吐息を吐きながら、離された唇。



「おにい…さま?」
「僕にも責任はあるからね?優姫のダイエットに協力するよ」
「……や、あの、ちょ…おにいさま!?」


慌てておにいさまの行動を止めようとパニック状態になりかけながらも、声をかける優姫。
それもそのはず。
枢は今まさに優姫の衣服を脱がしにかかってるのだから。


「大丈夫。ダイエットのための“運動”だよ。たくさん愛してあげるからね」
「だから、おにいさま…待っ…」
「もう黙って」
「んっ…――」



塞がれた唇。熱い吐息。
与えられるすべてに、軈て何も考えられなくなってしまう。






優姫のダイエットは枢の協力(?)もあり無事に成功したものの、
激しい腰の痛みを伴い暫くベッドから起き上がれなくなってしまい
“またダイエットしたくなったら喜んで協力するよ”
だから隠さずに言うんだよ
と、にこやかに言う枢に優姫は今さらながらに酷く後悔したのだった。



ダイエットに協力します
後悔しても遅いよね?


*end*