夏祭り

夕刻。
夏祭り会場に来た優姫たち。

「優姫…その浴衣とても似合ってるよ、綺麗だよ…誰にも見せたくないくらいに」
と優姫が着ている淡いピンクの浴衣を見ながら褒めるのは枢で。
「お、おにいさまっ……おにいさまも…その…似合って…ます」
「そう…ありがとう」

むしろ…浴衣の方が見劣りしそうなんですけど…と優姫が思うのは当然だろうか。
それに何やら色っぽい…気がするのは気のせい?
ちなみに一条たちは、会場に来てそうそうに別行動となった。
……いや、枢が真っ黒なオーラを放ち一条たちに
『優姫と二人きりにさせてくれないと、どうなるか分かってるよね?』的なオーラで
無理矢理別行動にさせたと言うのが真実なのだが、優姫は知らない。

「優姫…花火まで時間あるみたいだ…何処かで時間潰そうか」
「はい。おにいさま私ね…――」

言いながら優姫は枢の腕を引っ張って会場の中を歩く。
楽しそうな優姫に枢もまた微笑みながら、身を任せていて。
そんな彼ら――ヴァンパイアは当然ながら人目を引くのだが、
いちいち気にしていたら楽しめないのかはたまた気付かないのか。
優姫は、たぶん気付いてない。
枢は気付きつつも、優姫以外に興味は無いのでいつもながらスルー。

「あれ、食べたいの」

止まって指を指す場所には食べ物の屋台で。

「そうなの…じゃあちょっと待っててね。僕が買ってくるよ」
「はぁい」


*****


「はい、優姫…これでいいかな?」
「うん、おにいさま…ありがとう」

差し出されたのは、しろいふわふわの綿菓子。
優姫は、それを嬉しそうに食べる。

「おにいさまは食べないの?」
「僕?そうだね…僕は、これで良いよ」
「…………え」

突然のことに固まる優姫。
それも無理はない。
枢が、優姫の頬についた綿菓子を舐めとったのだから。

「くす…甘いね…それは」
「お、お、おに…さま!!…………えーと、あ、おにいさま…私次はあれ食べたいです」

真っ赤に頬を染めながら、必至に話をそらす優姫が次に求めたのは、
またもや食べ物の屋台で…

「分かったよ…待ってて」

枢は、くすくす笑いながらも優姫の望みを叶えるべく、買いに行くのであった。


*****


それから30分。

「優姫…まだ食べるのかい?もうやめた方が……」
「えーでも…」
と、反論するが枢が言うのも無理はない。
あれから、リンゴ飴・焼きそば・フランクフルト・唐揚げ・クレープ・ベビーカステラ…と
凄い勢いで食べてるのだから。
一体、胃袋の中は、どうなってるのかと思うくらいに。
これ以上食べたら、食べ過ぎで体調を悪くするのではと思った
枢が視線を巡らせた先にあった店……それは……

「優姫…あれやってみないかい?」
「あれ……って」