夏期休暇 with 玖蘭邸

夏期休暇、7日め。
玖蘭邸に、枢にとって来ないで欲しい訪問者が数名。
もちろん、それは優姫との貴重な夏期休暇を邪魔されたくないからで。
ただでさえ、両親により優姫と二人きりで居る時間が少なくなっているのだから。
自然と顔と態度に出てしまう。

「……君たちは、なにしに来たの?」
「やぁ、枢〜。遊びに来たに決まってるじゃないか〜」
「か、枢様!!休暇中、お会いできないと思ってましたが、お会いできるなんて!!」
「すみません…玖蘭寮長」
「枢様…申し訳ございません」

訪問者は、拓麻・藍堂・架院、瑠佳。
おそらく、一条が言い出して藍堂が賛同し、架院は仕方なく、
瑠佳は最初は反対したものの枢に会えると聞いて誘惑に負け賛同してしまった…
と言った具合だろうか。

「はぁ…折角来てくれたのに悪いんだけど…僕は忙しいんだ」

帰ってくれないかな?
と、あからさまにマイナスオーラを発する枢。
普段なら藍堂をはじめ、拓麻もおびえるのだが、
それよりも先に枢のオーラを無にしてくれるだろう存在の声…

「あれ?拓ちゃん…瑠佳、それにハナと暁。どうしたの?もしかして遊びに来てくれたの?」
「優姫(様)」

みんなの声が重なる。
視界に入ったのは、言わずもがな枢の妹である優姫。

「そうなんだよ〜。でも枢が忙しいみたいなんだ」
「え?おにいさま…今日は1日時間があると仰って無かったですか?」
「優姫…それは…」

そう。
枢が忙しいと言ったのは、嘘。
早々に拓麻たちを追い返すためのもの。

「おにいさま…良いじゃありませんか。私もみんなに会えて嬉しいですし」

にこり。
笑いながら言われてしまえば、枢には否と言えない。
優姫の沈んだ顔は見たくないから。

「分かったよ、優姫。君が、そこまで言うならね。……さぁ、どうぞ?」
「お邪魔します」

屋敷の中への道をあけられ、拓麻たちは玖蘭の屋敷へ足を踏み入れた。
客間へ通された四人。
枢と優姫も拓麻たちとは反対側にあるソファに座る。
ソファに座って、暫くすれば…
ドアが開く。

みんなの視線は、必然的に、ドアに向かい…

「悠様、樹里様!」
「お、お邪魔してます!」
「あら、いらっしゃい。そんなに畏まらなくて良いのよ?寛いで、ちょうだい」
「よく来てくれたね。僕たちも歓迎するよ」

あらわれたのは枢と優姫の両親。
樹里は微笑むと、拓麻たちが座っているソファの前にある机にお茶を置く。

「ゆっくりして行ってね?」
「は、はい」
「枢…お友達だろう…いつまでそんな顔をしているんだい?」
「ですが、お父様」
「もう、この子は。みんな、ごめんなさいね」
「い、いえ…大丈夫です」

慣れているんで…と思う。
まぁ、それはそれで何やら悲しい気がしなくもないが。

「あ!そう言えば、今日近くで夏祭りが有るんですって」
「夏祭り…?わぁ…行きたいかも」
「僕も行きたいな〜」

樹里の言葉に反応したのは
優姫と拓麻。

「そう…優姫が行きたいなら行こうか…その夏祭りに…」
「はい、おにいさま!!」
「浴衣あるから着ていくと良いわ」
と、夏祭りに行く事が決定された。

君たちは来なくて良いんだけど…
なんて思う枢からの黒きオーラは、皆総スルー…
いや、むしろ気付かないフリをして、お祭りのことに関して話し出す始末。
ここでは黒主学園に居る時と異なり、枢の意見なんて通る確率は極めて低い。

なにしろ、



そんな家訓がありそうな優姫を溺愛する玖蘭一家なのだから。
悠に関しては優姫と樹里…二人を溺愛だ。
もちろん枢へも愛情をもっているが。


おまけ。

「樹里。後で僕たちも行こう」
「え……悠、仕事良いの?」
「うん、君と夏祭り行きたいから終わらせたよ」
「嬉しい…悠」