しょくじ

事態は少し危ないかもしれない。
そう拓麻は目の前で繰り広げられている事を見て思った。

事の始まりは優姫ちゃんが黒主理事長から貰ったと言うお菓子。<
それを食べた優姫ちゃんは、なんと幼児化しちゃったんだ。
夜間部の授業は元通りになるまで、休講と言う事になった…
うん……それは別に構わないんだけどね…

幼児化して1日経っても戻らなかった優姫ちゃんは、
今枢の膝の上に居るんだけど視線のやり場に困るよ…本当に。
と言うのもヴァンパイアの子供は牙が無いから、生気を吸う。
当然、幼児化した優姫ちゃんも牙が無い状態だから
枢から生気をもらってるんだけど、問題は…場所だろうか。
肌に触れれば、生気は吸えるから何処でも良い……
でもね、何で君たち…唇と唇でやっちゃってるの?

食事と言うより、恋人同士がするようなキス……――
枢と優姫ちゃんは許嫁同士だから別段――
いやいや、今の優姫ちゃんは5歳……これって良いの!?

「……優姫」
「ありがとう…おにいさま」
と言って優姫ちゃんは唇を離す。

「一条?何か言いたそうだね」
「え……うん……」

言いたいのは、やまやま。
けれど、優姫ちゃんを目の前にして、正直なはなし言って良いのだろうか

でも言わなければ、ずっと続けられそうだし、何より枢から早く言え的なオーラを感じる。
仕方なしに拓麻は、重たい口を開く。

「生気を分けるのに何も唇同士を重ねてしなくても良いんじゃ…」
「なぜ?」
「何故って…」
「僕たちは、いつも通りのことをしてるだけだよ。
優姫が、こんな風に生気だけを糧にしていた頃と同じ事だから」

何か問題あるかい?
と視線で問う枢。

いま、思いっきり問題発言を聞いたような気がするよ……枢……。
君……幼かった優姫ちゃんに何してたのさ……。

それに、優姫ちゃん…
君も唇から生気を貰うことに対して、少しくらい疑問は無いの?

しかしこれがいつも通りだったのならば、習慣化され、戸惑いは無いのだろう。
でもね…出来れば、知りたく無かったよ。
そして、どんなに忘れたいと思った事か…

その日、僕は……僕たち夜間部の生徒は玖蘭家の
――玖蘭兄妹の普通では有り得ない食事風景を確かに目にしたのだった。