黒主学園

その日、陽が傾いてない時間帯にも関わらず月の寮から出ていく
見知った姿を見つけ拓麻は声をかける。

「あれ、枢?何処に行くの?」
「一条…。今日は優姫が夜間部に来るだろう」
「あ、優姫ちゃんか…」

言われて太陽が出ている時間にも関わらず、嫌に機嫌よく月の寮から出ていく
枢の姿に納得した一条は、「行ってらっしゃい」と友人を見送った。

去年、元老院が主催した夜会で枢の妹であり婚約者でもある優姫ちゃんに
僕は会ったけど、枢の妹にしては以前と変わらず、
無垢と言うか…純粋過ぎると言うか……
汚れのないお姫様。
そんな印象のままだった。

枢が今まで大切に大切に真綿に包むように守って来た優姫ちゃん。
そのような優姫ちゃんに、枢の苦労を拓麻は思い出してしまい苦笑したものだ。
そして、今日は枢が言うように優姫ちゃんが夜間部に入学してくる日。
今年から賑やかになるかな…と拓麻は思いつつ、漫画を読み漁るために自室へと足を向けた。



*****


「おにいさま」
「優姫、久しぶりだね。元気そうで僕も嬉しいよ」

学園に着いて黒塗りの車から降りると、優姫が来るのを知っていた枢に出迎えられた。
太陽は、まだ空に昇ってる時間帯におにいさまは待っていたのだろう。
そう思うと優姫は申し訳なく思ってしまうのだが枢は気にした風もなく、
優姫から荷物を預かると荷物を持ってないもう片方の手で
優姫の手を引きながら月の寮へと向かう。

本来ならば、理事長の所へ行かなければならないのだが、
それは枢の手回しにより省かれて行く必要はない。

これでやっと優姫と一緒に居られる

2年と言う月日は、
僕にとっては長かったよ…